四、再会

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四、再会

 毎日が充実していた。  ヒガチンが教えてくれるボクシングで僕はメキメキと上達した。していると思う。しているだろう・・・。絶対している。  かつての自分には無かった感情や気持ちが芽生えて来た。それは本当に大きなことだった。だから言える、今の僕はリア充だと。  仕事が休みの今日、ふと川を見に行きたくなった。って言うか川辺で昼寝をしたいような気分になった。いつもならそのままベッドで昼寝をしていたが、これも新しい僕だ。外で寝る! そして車やバイクよりもチャリが移動にこんなにも素晴らしいアイテムだと27歳にして知ったんだ。  素晴らしい陽気。早速寝そべってみた。思った通りの感覚と見える空だけど、実際にやるのと想像では大きな違いがあった。  風の音。  雲の動き。  芝生のにおい。  なでるように顔にあたる陽の光。 「やっぱり近所だったんですね」 「はい?」  誰だ? 「山田です」  飛び起きた僕はひっくり返った。実際はちゃんと立っていたけど。 「え~~~っ?! 山田さん?」 「こんにちは。その節はどうも」 「あっ、あっ、こんにちは!」  山田ミズキさんだ! マジにミズキさんだ! 「何で?! どうして?!」 「何がですか?」 「何がって、どうして僕を?!」 「だって、この間のレストランの方が寝そべっていたから・・・」 「ま、まぁそうなんだけど・・・えぇ?」  こんなことがあるんだ。ホントにあった。いわゆる運命ってやつだろ? 27年間待って、やっと僕にもそれが訪れたんだよ! その瞬間が!
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