五、現実

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「レイ。ロードワークに行くぞ」 「は? ヒガチン! 何でここに?」 「長いロードワークになるぞ。最後に彼女にさよならを言えよ」 「何を言ってんだよ」 「お前はもう旅立つんだよ。俺はそのお供で最後にお前の願いを叶えてやりに来た。嫁さんに会えただろ・・・さぁ行こう」  何だ? どうなっている? 嫁さん? 「お前は死んでいるんだよ。新婚3ヶ月で事故に遭った。そのショックで彼女は・・・この通りだ。気の毒だけど、現実を受け入れろ」 「嘘だろ? そんなこと、そんなこと、何も覚えていないぞ・・・!」  何でそんな目で僕を見るんだ、ヒガチン! 「覚えていたらあまりに惨い・・・。だから二人の記憶を消し去った。でも彼女にだけは、お前が見えていたんだな。良かったな」 「そんな・・・そんなぁ・・・いやだ! 僕はここに残るぞ!」 「そんなことしてみろ。永遠に彷徨うことになるんだぞ。彼女が年取って亡くなっても彷徨うんだぞ。それでいいのか?」 「・・・!」  僕は死んでいたことに今気が付いた。  あの目覚めの爽快感の意味が分かった。色々な不自然の意味が分かった。 「美月、僕たちは再び巡り会えた。だから次の人生でも必ず君を探しに行くから、それまで待っていてね。ずっと見守っているよ、さようなら」  了
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