運命の人

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『結婚?』 『そう。』 嬉しそうに頷く彼の顔は、幸せが溢れ出したような、ほわんとした、俺が大好きな笑顔だった。 いつもはあっさりと見惚れてしまう俺だけど、この顔をさせているのは、俺じゃないんだ、なんて思うと、胸が疼くから、そっと目を逸らした。 『それでな、ケーゴに、スピーチを頼みたいんだ。』 『スピーチ。』 この人は、なんて残酷な人なんだろう。 『そういうのは、後輩の俺じゃなくて、親ちゃんの上司とか、先輩とか、友達に、頼むべきだと思う。』 『んー、でもな、やっぱり、俺の恋路を支えてくれたのは、ケーゴだからさ。』 彼は、いつも通りの天真爛漫な顔で笑った。 俺が、どんな気持ちでいるかなんて、少しも知らないで。
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