運命の人

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女に、困ったことはない。 なんなら、男に言い寄られたことだってある。 だけど、俺はいつだって本気になれなかった。そんなんだから、相手はいつも俺に愛想を尽かして、俺の元を去って行く。俺は、それに対して、特に何も思わない。 あぁ、俺は真剣に恋をすることもできない、可哀想な人間なんだ。 ...って、もう、とっくの昔に諦めてたんだ。なのに。 『あ、君が今日から入る新人?よろしくな。』 そう言って、ふわーと天真爛漫に笑う顔に、心臓がくるんと一回転した。胸がドクドクと波打って、顔が、熱い。 ...あぁ、恋って、こんな簡単に落ちるものなんだ って、気付くのは、もう少し先だったけど。
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