奇妙な雨

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目覚めると、雨が降っていた。 寝ぼけ眼をこすりながら窓を見ると、曇った窓ガラスの向こうで、木々が風雨にまみれている。 今日は雨か…。 昨日の天気予報では雨と言っていなかった気がするのだが。 私は布団をたたみ、洗面所で顔を洗うと、いつもの服に着替えた。 もうすぐ、春になるのだが朝方はまだ寒い。 厚手の長袖Tシャツから顔を出すと、雨の色が変わっていた。 なぜだか、窓ガラスにくっついた水滴は冷たい灰色と淡い青色が混じり合った不思議な色をしている。 空気中を浮遊している微細で有毒な物質が溶け込んだのだろうか。 そう考えながら、Tシャツの上にYシャツを重ね、ネクタイをしめた。 そろそろ、出かけなくては。 冷たい灰色と淡い青色が混じり合った雨は次第に色を薄くしていき、普通の水の色に戻っていった。
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