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鬼は落ちている自分の首を拾うと元に戻した。勿論、自分の身体へ。
すると綺麗に元に戻る。
今度は自分の腹を切り裂いて、内臓を取り出した。何度も何度も。痛みはあった。初めのうちは。
鬼は1つの事に気付く。
『一度行った自傷、自殺行為は2度目から意味を成さない』
つまり、もう一度腹を切り裂こうとしても刃は、まるで液体に刺す様に「ぽちゃり」と音がして沈んでしまう。当然痛みは無い。
鬼は困った。困り果てた。
死ぬ理由は有るのだが、死なせてくれないのだ。
先祖から富豪なので家の蔵にこの身体や恋人に対する食欲を失くす文献は無いか。と何日も蔵を漁った。家系図やら当時の偉い人から戴いた物、国宝に近い古物。己に取ってガラクタでしか無い立派な物が溢れ出た。
そんな物は要らない!
何日も続けていると、蔵の奥から1冊の書物が見付かった。とても傷んでおり、少しでも力を入れると簡単に破けそうな。
鬼は直感した。
「これなら…手掛りが…」
何も書かれて無い表紙をゆっくりと捲るとこう在った。
『数代前に我が家に化け物が現れる』
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