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ロウの腕に包まれて、いつの間にか眠ってしまったらしく、身体に感じる重さで目を覚ました。
眠る前と同じ体勢で、後ろからロウに抱きしめられている。ずっと同じ体勢のせいで、左腕が痺れて痛い。
僕は、そっとロウの腕の中で身体の向きを変え、痛む右肩を下にしてロウと向き合った。
真っ暗の中では、ロウの顔がよく見えないけど、静かな寝息を立てて、よく眠ってるようだ。
ーーというか、なんでここで寝てるの?自分の部屋に行ってよ。ロウのせいで、僕は動けずに左腕が痺れたんじゃないか。
顔を寄せてロウを睨んでみるけども、暗闇で、しかもよく眠ってるロウが気づく筈もない。僕の顔に当たるロウの微かな息がくすぐったくて、仕返しとばかりに大きく息を吹きかけた。
それでも起きないロウに、「寝過ぎじゃないの?いざという時、僕を守るんじゃなかったの?」と文句を言って、口を尖らせる。だんだんとロウに腹が立ってきた僕は、カプリとロウの鼻を噛むと、ロウの胸に擦り寄ってまた目を閉じた。
その直後、ロウがゆっくりと目を開けて、甘く優しい眼差しで僕を見つめていたことを、僕は知らない。
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