黄色い狂気

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僕は、半分行きかけた身体を戻して、きつくハルトを睨んだ。 「しつこい…。僕は変身出来なくてもいいんだ。だから、もう放っておいてよ。じゃあ行くから」 教室に戻る為に歩き出した僕の背後で、ハルトの低く笑う声が聞こえた。 「く…くくっ。ダメだよ?すっごく気になるから、試してみるね?」 「は?なにを…」 いつまでも僕を解放してくれないハルトに苛立って、文句を言おうと振り向いた僕は、大きく目を見開く。ハルトが、僕に向かって突進して来たのだ。 ハルトの右手が狼化して、鋭く尖った爪がギラリと光る。 ーー…チッ。もう避けれないな…。 早々に覚悟を決めた僕は、微動だにせず、向かって来るハルトを睨んだ。と、そこへ、横からものすごい勢いで体当たりをされて、僕の身体が廊下の端へ飛ばされた。 「…あっ、つぅ…」 強く肩を打ちつけて、顔をしかめて身体を起こした僕の目に、ハルトにお腹を突き刺されたリツの姿が映る。 「…リツっ!」 僕の声にリツが振り向き、ニヤリと笑う。笑みを作る唇の端から、血がタラリと垂れた。 「バカ…っ!何やってっ」 「なんだよ、最悪。なんで赤築が出て来んの?せっかく青蓮 ルカを半殺しにして、変身出来るかどうか見ようと思ってたのにぃ…。なんだかシラケちゃった」 ハルトが呟いて腕を引く。リツがお腹を抑えて跪き、そのまま前にパタリと倒れた。 「あ~あ、無駄に汚れちゃったよ。ねぇルカ君、また今度試そうね?じゃあね」 ズボンのポケットからハンカチを出して、血で汚れた手を拭くと、それをリツの上に投げ捨てて、ハルトが去って行った。
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