青と青の攻防

6/10
前へ
/221ページ
次へ
翌朝、肩にヒヤリと冷たい感触がして、目を覚ました。 ロウが、僕をうつ伏せにして、肩に薬を塗っていた。 「まだ紫になってる…?」 うつ伏せのまま、ロウに小さく問いかける。 「ええ…、しばらくは消えないでしょう。今宵も、俺が癒してあげます」 「……」 ーーロウのキスで、痕は消えないでしょ? そう疑問に思ったけど、昔からの経験で、こういう時のロウがとても頑固なことを知っている。 僕はまだ眠たいのもあって、好きにして…と、小さく頷いた。 ロウが薬を塗り終えて、肌蹴たパジャマを戻したその手で僕のほおを撫でる。ロウの手が冷たくて気持ちいい。僕が再び目を閉じると、ロウが僕の額に手を当てた。 「…なに…?」 「熱い…」 僕を仰向けにして、ロウが上から顔を覗き込んできた。もう一度、僕のほおに手を添えて、渋い顔をする。 「目が潤んで顔も赤い。身体が熱くはないですか?熱があるようだ」 ロウに言われてみて、そういえば視界がぼやけてロウの顔が見え辛いし、全身がポカポカする。僕はロウの手に擦り寄って、熱い息を吐いた。 「ん…なんか、熱い…。頭もボワンボワンしてる…」 「ここ最近、怪我が続いたからでしょう。身体が疲れてるのです。俺も今日は休みます。傍にいるので、ゆっくりと養生して下さい」 「いいの?ロウ、学校に行かなくて…」 「こんなあなたを、一人で置いておけない」 「そう…」 「少し、待っていて下さい」 僕の頭をポンポンと撫でて言うと、ロウは部屋を出て行った。
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!

435人が本棚に入れています
本棚に追加