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翌朝、肩にヒヤリと冷たい感触がして、目を覚ました。
ロウが、僕をうつ伏せにして、肩に薬を塗っていた。
「まだ紫になってる…?」
うつ伏せのまま、ロウに小さく問いかける。
「ええ…、しばらくは消えないでしょう。今宵も、俺が癒してあげます」
「……」
ーーロウのキスで、痕は消えないでしょ?
そう疑問に思ったけど、昔からの経験で、こういう時のロウがとても頑固なことを知っている。
僕はまだ眠たいのもあって、好きにして…と、小さく頷いた。
ロウが薬を塗り終えて、肌蹴たパジャマを戻したその手で僕のほおを撫でる。ロウの手が冷たくて気持ちいい。僕が再び目を閉じると、ロウが僕の額に手を当てた。
「…なに…?」
「熱い…」
僕を仰向けにして、ロウが上から顔を覗き込んできた。もう一度、僕のほおに手を添えて、渋い顔をする。
「目が潤んで顔も赤い。身体が熱くはないですか?熱があるようだ」
ロウに言われてみて、そういえば視界がぼやけてロウの顔が見え辛いし、全身がポカポカする。僕はロウの手に擦り寄って、熱い息を吐いた。
「ん…なんか、熱い…。頭もボワンボワンしてる…」
「ここ最近、怪我が続いたからでしょう。身体が疲れてるのです。俺も今日は休みます。傍にいるので、ゆっくりと養生して下さい」
「いいの?ロウ、学校に行かなくて…」
「こんなあなたを、一人で置いておけない」
「そう…」
「少し、待っていて下さい」
僕の頭をポンポンと撫でて言うと、ロウは部屋を出て行った。
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