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「…叔母さん、亡くなったのか」
「うん」
たったそれだけの言葉に押し込んだ感情を感じ取って、目頭が熱くなった。
「…いつ亡くなったのか、聞いてもいいか。」
「先週の土曜日の、夜中かな。」
「…夜、時間あるかって聞いたよな。」
「…それとは関係ないよ。」
関係ない訳がない。こんな時でも遠慮して、嘘をつこうとする。
「喜んでくれるかな」
「え?」
「お花」
喜んでくれるに決まってる。意識がない間もずっと、奏の持ってくる花を楽しみにしていた筈だ。でもどうしてか、そんな言葉の一つもかけてやれない。
「お母さんが死んだの、私のせいなの」
「…なんでそう思うんだよ」
奏は今、話そうとしてくれている。三年間ずっと溜め込んできたもの、ずっと一人で悩んで来た事、叔母さんがなくなった夜の事。
――
先日、担当医から今後について話し合う機会があったという。植物状態であるならまだ、意識を取り戻す可能性がある、でも、叔母さんはその見込みも無いと、はっきりと言われたらしい。
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