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三年。叔母さんが意識不明になってからもうそれだけの月日が経っていた。当時の俺は隣の奏の家で何が起こったかを深く考えていなかった。事の深刻さを理解した頃にはもう、奏の顔から笑顔が消えていた。
「早く退院できるといいな。」
「うん、…そうだね。」
「…なあ。」
「なに？」
「なんでもいいから、いつでも言えよ。ほら、悩みとか、愚痴とか。お前普段そういうの言わないだろ。別に俺じゃなくてもいいけど…」
俺を頼れと素直に言えない自分に苛立つ。どうしても奏を相手にするとこんな言い方しかできない。
「ありがとう、“賢斗君“。」
「！…別に。叔母さんとこ行こうぜ。」
「うん。」
たったこれだけの事で顔がにやけるのを止められない。顔を見られないように足早に駅を目指した。
――
「賢斗！お前奥野と付き合ってるってマジ？」
耳を疑う言葉を投げかけられた。どうやら俺と奏が休日に二人でいるところが目撃され、付き合っているという噂が広まっているらしい。
初めて二人で街の花屋へ行って数週間、頻繁にあの花屋へ行くようになった。奏も気に入ったらしく、奏自ら休日の予定をメールで確認してくるくらいだ。
「付き合ってねーよ。あいつの買い物に付き合ってつだけだ。」
「それもうデートじゃん！お前の趣味やばいな！」
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