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廊下に響き渡る耳に障る笑い声と、激しい水音。音の方へと視線を向け、一つの個室の前で足を止めた。 別に、中で今まさに起こった出来事に首を突っ込むつもりはない。 ただ少し前、幼馴染がこの個室に入ったのを見た。 「ヤッバ!絶対泣いてるよ!」 「全身ずぶ濡れ確定でしょ!」 「あれ~?南じゃん!何してんのぉ?」 耳障りな笑い声が入り口から出てきた。俺の姿を見て怯むどころか、今あった“楽しい事”を伝えたくてしょうがない、というような面持ちで近寄ってくる。興奮が冷めきらない無邪気な笑顔、その顔の裏に潜むどす黒いものに頬がひきつる。 「いや別に、通っただけ。」 「え~なんか暗くない?カラオケ行く??」 確かにノリの良さに定評のある俺にしては適当な返事だったと思う。それが自分達の行いのせいだとは微塵も思っていないだろう。 腕を掴まれ引っ張られるが、足はその場に縫い付けられたように微動だにしない。俺の意識もカラオケより、目の前の個室に向いている。  数分の格闘の末、女達の気を諦めさせた。去っていく後姿が見えなくなった事を確認し、何の躊躇もなく個室に入った。 「…なにしてんだ。」     
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