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※
相手にしなければそのうち飽きるだろうと予想していたガキ大将たちの悪戯は、日を追う毎にその激しさを増していく。
腐ったリンゴが元に戻ることはないように、何の手立てを打たないままでは、状況は厳しくなる一方だった。
学年が上がり、クラスが変わったことで同じ教室にいることがなくなったが、代わりに、影で暴力を振るわれるようになった。
「どうすれば良いと思う?」
「んー」
頬の擦り傷をなぞりながら、布団の上でアイトに尋ねる。ふわああ、と眠そうな声を上げたアイトは、
「やっぱり、このままじゃいけないって事だろうな」と声を落とした。
「それはわかってるけどさ。一対四じゃ分が悪すぎるでしょ」
体格差は差ほど感じないが、個の能力も、数の暴力には敵わない。
「そうじゃなくてさー」
むくっと起き上がったアイトが、暗闇の中で僕をじっと見つめている。珍しく真剣な表情に厭な予感がした。
「俺たちの関係も、だよ」
「それって」
「やっぱマズいんだろうな。うん、マズいんだわ。お前だって分かっているだろ?」
「何言ってんだよ。僕はアイトがいればそれで良いんだよ。他の子たちとは話が合わないし」
「そうやって、相手を見下す癖も直さないとな」
「だからー」
「大丈夫、俺に任せとけ」
そう言ってアイトは、これまでにない表情で笑って見せた。
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