0人が本棚に入れています
本棚に追加
※
IF、イマジナリーフレンド。
孤独から逃れるために作りだされた架空の友人。僕にはそのIFが、アイトという友人がいた。
彼と思い出は、その存在が見えなくなった時と同時に消滅し、周囲にもその存在を話していなかったので、長年忘れ去られたままだった。
額縁を探していると玄関のチャイムが鳴った。多分、彼女が来たのだろう。
「おじゃましまーす」
「散らかってるけど」
「うわ、滅茶苦茶じゃん」
プリントの山を掻き分けて部屋に入った百瀬さんが、あの絵日記を手に取る。
「これって」
「あー、さっき見つけたんだ」
「アイト、君?」
「え?」
記憶になくても深層心理には深く印象が残っていたのか、僕は知らずのうちに心理学に興味を持つようになっていた。進学する大学でも心理学を専攻する予定だ。
「知ってるの?」
「うん、あれ? でも誰だっけ?」
アイトとの思い出が、色鮮やかに蘇ってくる。もしかしたら、もう一度、彼に会う日は近いのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!