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改変の時
※
「教科書どうすんの?」
「なくても問題はないけど」
悪知恵だけは働く彼らは、音読がある国語や計算問題が載っている算数の教科書は避けて、社会や理科など、あまり教科書を使わない教科ばかりを狙っていた。
一番面倒なのは図画工作の授業で、少し席を立った隙に壊されてしまうから、作業は進まない一方だった。
それに彼らが思いっきり活動できる体育の授業では、何かとターゲットにされることが多く、授業でドッチボールをした時には真っ先に狙われて、一番に外に出ることになった。
「偶にはやり返せよ」
「争い事は嫌いなんだよ」
「そんなんだから舐められるんだ」
そう言って、アイトは縦横無尽のコートを駆け回ると、楽しそうにボールを避けていた。
「じゃあ、アイトがどうにかしてよ」
「んなこと言ってもなー」
僕よりも体の大きな彼らに勝てることなんて、勉強や音楽しか思いつかない。だからこのまま、反応を示さない僕に彼らが飽きてくるのを待っている方が賢明なのだ。
しかし、僕の考えを全く理解していない人物によって、問題は更に加速することになる。
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