八月三十一日

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 困惑した少女は、少女に問い掛ける。  少女は、涙を乱暴に拭い、 「…もう、良いんだよ。――。  もう、終わりにしよう…?」  唐突に、脈絡無く、  少女は少女に、そう告げた。 「…もう良いって、どういう事ですか?  終わりにしようって、どういう…事、ですか?」 「…あたしとこうして花火を見るのって、――にとっては何回目?」  音が、無くなる。  確かに、火の花は咲いている筈なのに。  そこには、少女と少女の声しか存在していなくて。  少女はごまかそうと口を開く。  少女の幸せを失わない為に。  少女の永遠を壊さない為に。  …しかし、少女は出来なかった。  出来る訳が無かった。  その表情は、その瞳は。  たとえ、いかなる真実であっても。  その全てを、受け入れる覚悟を。  凛と、称えていたから。  押し黙っていた少女は、全てを語る。  真実を。  残酷で、無慈悲で、どう足掻いても救いの無い、真実を。 「………そっか」  全てを知った少女は、ただただ微笑み、  少女を、ぎゅっと抱きしめた。  突然の事に驚いた少女、目を見開く。  見開いて、見開いて、 「……ごめ、ん、なさい。  ごめんなさい、ごめんなさい…!」  謝罪する。  壊れたジュークボックスの様に。  繰り返し。  繰り返し。     
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