八月三十一日

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「――が謝る必要なんか無いよ。  …謝んなきゃいけないのは、むしろあたしの方。  …ごめんね。  ――に、――にばっかりに、全部を背負わせてしまって」 「良いんです、良いんです。  これは、私の望んだ事なんです。  私が、望んだ世界なんです…!」 「…ありがとう。  こんなあたしの為に、全部全部背負ってくれて。  本当に、本当にありがとう」  少女は少女を、強く強く抱きしめる。  さようならを言う様に。  さようならを言わせない為に。 「…もう、終わりにしよう?」  少女は、気付いていた。  もう既に、少女は限界を迎えていた事に。 「嫌です…絶対に嫌です…!」  少女は、知っていた。  終わりにしてしまえば、少女がいなくなってしまう事に。 「あたしは、――に未来を生きて欲しいんだ」 「私は、――と一緒に生きていたいんです!」 「大好きな人に、未来を生きて欲しいって望むのは、そんなに悪い事?」 「大好きな人と、ずっと一緒に生きていたいと願うのは、そんなに悪い事なんですか?」 「…――」  少女は少女をそっと離し、 「大丈夫だよ。  神様は、乗り越えられる試練しか与えないんだから」  告げる。  少女は、思う。  神は確かに、乗り越えられる試練しか与えない。     
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