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 新学期が始まり、出席日数が足りず留年した僕はもう一度一年生からやり直すことになった。  同じことを繰り返さないように自分なりにしっかりと考えた結果。友好関係がうまく築くことができなかったのは、相手が自分のことを友達だと思っているかがわからないからだろうということに気がついた。だから僕はシンプルな手段を使う。同じクラスの後ろの席に人に向かってこう言った。 「俺、夏野洋介っていうんだ。良かったら友達になろうよ!」  相手もその言葉が嬉しかったのか、こう返ってくる。 「うん、ぜひ友達になろう! よろしくね!」  教室の少し開いた窓から反対側に向かって風が抜けていった。  そして、「良かったな、洋介!」と優也の声が聞こえた気がした。
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