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そして駅に着き切符を買おうと自動券売機の前に立ったところで、後ろから声をかけられた。
「お前、夏野か……?」
後ろからのため誰かわからないが、優也以外の知り合いに見つかったことで背筋が凍る。
「チッ、すまない洋介。しくじった……」
優也の舌打ちと悔しさがこもった言葉が聞こえた。
「なぁ夏野、こんなところで一人で何やってんだよ」
その言葉に違和感を感じる。
「一人…………?」
そっと振り返ると名前は覚えていないが高校一年生である今、僕たちと同じクラスのやつが一人立っていた。
「おっ? おう。一人で何やってんの?」
「一人じゃねえよ。ここに優也がいるだろ?」
隣にいる優也を指差す。
「優也……? 誰それ?」
優也も同じクラスだからこいつも優也のことを知っているはずだ。優也が同じクラスでないのなら、他のクラスのやつと交流する余裕なんてなかった僕が優也と友達になれるはずがない。一体こいつは何を言っているんだ。
「洋介、帰るぞ」
優也が言いながら僕の腕を引っ張って足早に帰ろうとする。
「痛てっ、おい」
とりあえず同じクラスのやつから自分も離れたかったため、引っ張られるままに歩いた。
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