1

14/16
前へ
/16ページ
次へ
 家に着き部屋に入る。 「おい優也、どういうことだよ? あいつ、言ってることおかしかったぞ。優也って誰って……」 「洋介……実はお前に言わないといけないことがあるんだ…………」 「なんだよ、言わないといけないことって……?」  二人の間に緊張感と沈黙が流れる。 「洋介、俺は……本当は存在しないんだ。だから、他の人には見えない……」  優也の言ってる意味が全然わからなかった。 「なんて言うか……そう、イマジナリーフレンドってやつだ。お前が思い込みで作り出してるだけなんだ」  頭が全くついていかず、唖然として言葉が出ない。 「そりゃ突然こんなこと言っても納得できるわけないよな……いいか洋介、よく聞けよ。お前は、お前自身が知ってるとおり高校に入学してからというもの学校生活がうまく送れなかった。中学生まではなんら普通に生活していたお前は、その現状にショックを受け自分が思っている以上に精神的にダメージを受けていたんだ。そして、そこで作り出したのが俺だ……」  優也は続ける。 「これだけじゃまだ納得でいないだろうから、もっと言うぞ。俺が階段を上がってくる時の足音も、その後扉が開くのもお前の空想なんだ。実際には音も鳴ってなければ扉も動いてすらいない。お前家にちゃんと鍵かけてるだろ、合鍵を持ってるわけでもない俺がどうやっていつもいつも勝手に入ってくるんだ? 勉強だって最初から自力だったんだよ。最近になって俺がどう教えるかっていう方法で解けるようになったわけじゃない、最初から俺が教えてるっていう体で自分でやっていたんだ。……思い出して見ろ、俺とはいつ友達になった? 俺は教室のどこに座っていた?」
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加