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 月曜日。  トットットットッ、ガチャッ。 「洋介ー起きてるかー」 「……ん……ぁ?」 「なんだ、寝てたのか。寝ぼけてないで、さっさと起きろ」  バッと掛け布団を取られる。 「……もうそんな時間か」  とりあえず顔を洗いに階段を下りる。頭を回すために冷蔵庫からチョコレートを取りだし、食べると洗面所で顔を洗い部屋に戻った。 「お待たせー」 「今日は……俺が教える前に自分で教科書を見ながらやってみろ」 「……へ?」 「いつもは授業みたいに教えるところから始めてたが、やろうと思えば自力でもやれるはずだ」 「……無理だって。知ってるだろ? 僕が授業についていけなかったこと」 「いや、あの時はあの時だ。今のお前ならできる」 「…………」  どうしたのだろう。教えるのが面倒くさくなってきたのだろうか。そりゃそうだよな、平日に毎日毎日。むしろ今までそうしてくれていたのがすごいくらいだ。 「わーったよ、やってみればいいんだろ? でも、わからないところは教えてくれよ」 「ああ、そこは任せておけ」  僕は教科書を開く。 「えーっと……ここはこうで……ここがこうなって…………」
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