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もう随分と前から、地球上の人口の大多数は都市部に集約され、地表の大部分は自然保護区となっている。
都市部はドーム状の半球で覆われており、環境は常に人間が快適な生活が出来るように保たれている。
保護区内には特別な許可がなければ入れない──と言うより、ドームから出るには厳密な審査がある。
なぜ厳しくしているのか──。
そもそも誰も用事がないので、出ようともしないのだが、時折、自然回帰を謳った集団が強引にドームを抜け出し保護区に侵入しているからだ。
それらの集団は、政治的であったり、宗教的であったりバラエティに富んでいたが、私が観察した限りでは、そのどれもが、お世辞にも賢くはなさそうだった。
そうした連中の例に漏れず、威勢だけは良かった。
しかし、いずれも一年も保たずに逃げ帰ってくるという。
今の時代の人間には保護区の環境は、長期的な生存に適していない。
保護区の中では、人間が排除された生態系が維持されている。
その生態系は、大型肉食獣を頂点にしたピラミッドなのだが、それを維持するのがなかなか困難だと聞く。
既に滅んでしまった種があるからだ。
特にピラミッドの上部、中型・大型の肉食獣が欠けているのは致命的だった。
人間が介入しないと均衡が取れない。
どうしても、草食動物が増えすぎてしまうのだ。
そのために必要とされたのが、生物回生学だった。
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