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絶滅種の再生には、基本的には剥製や標本が利用される。
それらからゲノムを採取するのだ。
ところが──稀にある事だが──剥製や標本の数が極端に少なかったり、保存状態が劣悪だった場合には、自然繁殖に必要な個体数を再生できないことがある。
自然繁殖を維持するには、近親交配を防ぐためにも、数十の異なるゲノムが必要だった。
当然ながら、個体数がどれだけ多くても、同一個体のクローンばかりでは、子孫を残せない。
そんな時には別の方法でゲノムを手に入れなくてはならない。
直接、採取に赴くのだ──現地まで。
今、私達のチームが再生に取り組んでいるのは、エゾオオカミ。
エゾオオカミは剥製や標本として残っている物は稀で、毛皮ですら現存している物は数枚しかない。
まさにサンプルが足りていないケースだった。
今回も、私達は多少の危険はあるが、現地までサンプルを採取しに行く。
今回の目的地は、十九世紀後半──まだ蝦夷地と呼ばれていた時代の北海道である。
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