第三章 秋

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≪世界革命≫後、それまで破壊に費やされていた労力は、全て建設的な方面へと向けられていった。 治療できない病気は減っていき、老化現象も止められ、寿命は飛躍的に伸びた。 まだ、誰もそこまで生きてはいないが、理論上は千年は生きられるようになっているそうだ。 もはや一生働く必要は無く、その一生は半永久的に続く時代が訪れた。 ネコのように、食事して、遊び、昼寝を繰り返す──そんな毎日を過ごすことも可能だ。 そうして余裕が生まれた人類は、自分達が破壊してしまった自然環境の再生へと乗り出す。 まず、人間を都市部に集め、ドームで覆って密閉した。 都市部以外は全て自然保護区とし、人間が垂れ流した汚染物質を取り除き、生育環境を整えた。 次に、自然保護区内の生態系を、人間を取り除いた状態で機能させる計画が持ち上がった。 この時点で、人間が絶滅させてしまった種を復活させることが決定し、生物回生学(バイオロジカル・レザレクトロジー)が誕生する運びになった。
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