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予定時間ちょうどに友人が現れた。
早くも遅くもないのが彼らしい。
時代考証を済ませた結果なのであろうが、古めかしい衣装に身を包んでいる。
見た目は当時のスタイルが再現されているが、素材は現代の物を使っているので、頑丈で汚れにも強いはずだ。
二言三言挨拶の言葉を交わし、彼は手近な椅子に腰掛けた。
それを確認しながら、私は卓上のタッチパネルを操作し作業を続ける。
作業といっても、ほとんどはモニターに現れる文書に目を通し、イエスを選択するという単純なものだ。
余程のことがない限りノーを選ぶことはない。
私は機械的に作業を続けながら、友人の様子を伺った。
旅行への緊張からか顔色が悪いようにも見える。
赤外線でモニターすると体温が普段より0.5度ほど低かった。
寝不足なのだろうか?
私の視線に気付いて友人は微笑んだ。
「ヒサギ」
友人が私の名を呼んだ。
名前を呼ばれるのは15日と17時間振りだ。
「ネコは元気?」
「うん、問題無い」
「何歳だっけ?」
「それは、ネコのこと?」
「ああ」
「分からない、一緒に生活するようになってからは5年になる」
彼らは、ある日突然私の前に現れた。
5年と23日前のことだ。
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