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準備は滞りなく進み、あとは最後のイエスに指先が触れるだけだった。
友人は既にガラスに隔てられた別室で待機している。
過去での滞在時間は6時間に設定されているが、こちらには3分後に戻ってくることになっている。
カウントダウンが60秒を切ったところで、私はマイクで彼に問いかける。
「シャフトに異常は無いか?」
ガラスの向こうで友人は首を縦に振り、やや遅れてスピーカーから「問題無い」と声が聞こえた。
私の指がそっとイエスに触れる。
カウントダウンが始まった。
あと30秒。
「何があっても責任は感じないでくれよ」
彼は微笑んだ。
「まるで遺言みたいじゃないか。
残念だか事故が起きる確率は限りなくゼロに近いから、遺言だとしても無駄になる」
私も微笑んで見せたが、果たして上手く笑えただろうか?
あと10秒。
友人は右手を上げて手を振っている。
「これは俺が選んだ未来だ」
その言葉を残して、彼は消えた。
タイムトラベルは成功したようだった。
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