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私は一つの仮説を思い付いた。
あまりにも突拍子も無い説だが。
私は、あの時──気が付いたら、あの木の前にいたのではないのだろうか?
現代から過去に行った者がいるのならば、未来から現代に来る者があっても不思議ではない。
私もまたタイムスリップして、元の時代に帰れなくなった者の一人ではないのか?
私はどこから来たのだ?
昔のことを思い出そうとするが、頭の中に霧がかかってしまったかのように、茫洋としている。
ここは現実なのだろうか?
現実とは何なのだろうか?
もう、わからない。
昨夜一緒にいたのは誰なのだろうか?
本当に誰かいたのだろうか?
誰もいない暗闇に向けて、ずっと独り言を喋っていたのではないのか?
焚き火は火が消えて煙だけが薄く立ち上っている。
それだけが辛うじて昨晩の、ヒイラギがいたことの証拠のようだった。
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