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「おつかれ!」
「おつ」
「おやすー」
わたし達の別れの挨拶はいつも決まってコレだった。
そうして三人が次々にログアウトしていく。
住んでいる場所は皆バラバラだけれど、同じゲームの、同じサーバーの、同じ街でわたし達は毎日のように顔を合わせていた。
ほんのちょっと現実世界を忘れて、ゲームの中のファンタジー世界へログインする。
そこではわたし達は何にでもなれて、架空の世界を自由に飛び回ることが出来た。
頼もしい剣士。
強い魔法使い。
傷を負っても、回復魔法やアイテムであっという間に復活。
「今日どこ行く?」
「あのクエ片付けよ」
「待って、装備変えてくる」
その日の気分で、何をするのも自由。
皆で力を合わせて強敵に挑むこともあれば、何をするでもなく街中でダラダラと喋り続ける日もあった。
そして皆が寝る時間が来れば、いつも通りに挨拶をして、ログアウト。
だけど明日になったら同じ場所で、また会える。
思い思いにログインして、気付けば皆揃ってる。
そんな毎日が、ずっと続くと思っていた。
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