取捨選択

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 小学校5年生の頃。珍しくクラスの男子たちが話しかけてきた。 「なぁ、お前いつも勉強ばっかしてるけど、たまには俺らと遊ぼうぜ」  そう言って、僕は放課後に半ば無理やり誘われて、近所の公園で彼らと遊ぶことにした。  彼らは携帯ゲーム機を取り出して、モンスターを競い合わせて戦っている。 「お前もこれやってみろよ」  そう言って、彼は流行りのゲームを貸してくれた。  初めてゲームをやってみて、僕はこんなにも楽しいことがあるんだということを知った。 「これ! 面白いね!」 「だろ? お前もたまには勉強なんか休んで、こうやって遊んだほうがいいって」 「うん!」  夢中になって遊んでいるうちに、気が付けば日もすっかり沈んでしまい、塾の時間を過ぎていることに気が付いた。  このままではお母さんに怒られてしまう……。  しかし、既に時間は過ぎてしまったので、どうすることも出来ない。  仕方がなく、その日は真っすぐ家に帰る。  恐る恐る家のドアを開けると、お母さんはとても怒った表情で僕を待ち構えていた。 「塾から連絡があったわよ。今日、行かなかったそうね」 「ご……ごめんなさい」 「何をやっていたの?」 「と……友達とゲームして……遊んでた……」  その瞬間――バシン!  お母さんに思い切り頬を叩かれた。 「あんたはいつからそんなに悪い子になったの! ゲームなんか必要ないものでしょ!」  バシン! バシン!  何度も何度も叩かれる。 「ごめんなさい……お母さん……ごめんなさい……」 「いい? ゲームなんかは必要ないの。そんな悪い遊びに誘ってくる友達も必要ないものだわ。その子たちとは二度と遊んじゃ駄目よ」 「はい……」  そして、僕は友達を切り捨てた。
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