取捨選択

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――次の日。  教室に入ると、僕の机に落書きがされていた。  無視されるだけなら気にしないが、これは明らかないじめだ。  僕は担任に言って、母さんにも連絡してもらった。  母さんはすぐに学校まで来て、担任に物凄い剣幕で怒り出す。 「大輔! こんなレベルの低い学校はもう行かなくていいわ。これからはお母さんが通信教育でしっかりと管理してあげる」  そして、僕は学校生活を切り捨てて、常に自宅にこもりながら通信教育を受けることになった。  外出するときは習い事と塾の時だけだ。  塾は学校と違い、周りのレベルも高く、低能な連中もいないから安心だ。  たまに、外を歩いている時に僕と同年代の男女が楽しそうに歩いている。  必要のない友達に時間を割いて、お互いに足を引っ張り合っている無能な連中だ。  恋愛にうつつをぬかし、成績も低い猿のような連中だ。  こんな連中と付き合う必要はない。僕には必要ないものだ。  時たま、野良猫が僕の足元にすり寄ってくる。  何故か、僕になついているようだ。  しかし、ペットなどは必要ない。  今の僕に必要なのは、一流の大学に入る為の知識のみ。  その為には、もっと勉強を頑張らないとダメなんだ。  そして、僕は通信制の学校で義務教育を終えた。  それからの人生は順調だった。  私立の名門高校に通い、特に問題を起こすこともなく卒業。  その後は一流の大学に入り、レベルの高い友人と適度に付き合いながら、順風満帆な人生を送ることになった。
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