『預言者』 シヴァ

11/18
2192人が本棚に入れています
本棚に追加
/389ページ
預言者は葵に 封印の部屋の中ではあったがーー 森や湖、動物たち、滝、流氷… 様々な自然を映して見せてくれた その時葵は穏やかな笑顔をわずかに見せるので 預言者はとてもうれしくなりーー喜んだ ここで何日たったか葵はもうわからなくなった 激しく預言者に何度も抱かれながらーー 葵は泣く 預言者の力でこの時は 封印の部屋中が、鏡になっていた 万華鏡の中にいるように 鏡にたくさん写っている 交わる…葵と預言者の姿… とても美しく淫靡な姿… 「見てごらん…なんてきれいなんだ」 絡み合う白いカラダが無数にうつるのを遠のきそうな意識の中、見ていた 泣きながら葵は目をつぶる 嫌なのにカラダは逝きすぎて 意識が飛びーー 夢なのかーー ぼんやり…人の後姿が…葵の瞼に浮かんだ… 葵は朦朧と考えるーー これは…誰…だった…? 「葵!」 突然肩をつかまれ揺さぶられ、目を開けると 繋がったままの預言者が 葵をつかんで激しく睨んでいた よくわからないままに するすると紐で縛られ 天井に両手を釣り上げられる格好になる つま先がぎりぎり床につくがーー 「葵、私だけを見なさい」 預言者の瞳が碧から銀に近い色になっていた どうしてそんなに怒っているのか葵にはわからない
/389ページ

最初のコメントを投稿しよう!