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栗林が給湯室から戻りお盆に乗せたコーヒーを配り終えると、早速芦屋麻衣は話を切り出した。
「編集長、実は、プロビデンスの目について追ってみようかと思うのですが」
「プロビデンスの目?」
「はい。三角形の中に目が描かれた記号の事です。真実の目とも呼ばれていて」
「ああ、あれね。フリーメイソンとか、一ドル札のやつ」
「そうです」
栗林はうんうんと頷きながらコーヒーを啜る。
「でもそれってもうやり尽くされてるんじゃないの? それに、芦屋ちゃん確か今摩周湖のカッパについて調査してたよね。ライブカメラにカッパが映り込んでたってネットで噂になってるやつ。あれどうなったの?」
「それは後回しという事で」
「えー、ダメだよぅ。カッパは先超されたら終わりなんだよぅ。この業界、先に結論出した方が勝ちなんだからさ」
芦屋麻衣が「はぁ」と、消沈していると、二人の会話にパソコンをいじっていた木下が入り込んでくる。
「あのカッパ、誰かのイタズラって線が濃厚ですけどね。画像出回ってますけど、カッパが映ってるの摩周湖からかなり離れた第一展望台の茂みの中だし」
「人を食べにきたんだよぅ」
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