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「ああヤバい、起こしたい」
「やめてよ、起きたらなかなか寝ないんだから」
「分かってるんだけど、パパパーって言われたい」
彼女に言わせれば、俺は予想してた以上に完全に親バカらしい。
この前の休日、撮り溜めしていたドラマを観ていた時のこと。それに出ていた子役の女の子が、こう言っちゃ悪いけど全然可愛くなくて。だったら晶美の方が100倍可愛いし、今から仕込めばきっと演技も出来るようになるはず。だから「晶美、子役にしよう!それかモデル!」って言ったら大笑いされた。
「晶美を眺めながらでいいから、ご飯食べたら?」
俺がベットから離れようとしないから、彼女が見兼ねて提案した。「うん、そうする」と返事すると、呆れた様子で皿に盛ったカレーを差し出して来た。
当然の事だけど、俺が帰ってくる時間には、晶美はいつも寝ている。だからこうして寝顔を眺めるのが日課。たまたま起きてたら、ご飯もそっちのけでデレデレするんだけど。
その様子を、彼女はいつも穏やかな表情で見ている。最近、表情が母親になったなって思う。晶美を見守る姿を見ていると、自分の母親を思い出す。俺もきっとこんな風に大きくなったんだろうなって、彼女のお陰で母親に改めて感謝の気持ちが生まれたりもして。
と、思いきや、夜に俺と2人になったら、突然女の顔になる。そんなギャップ、狡すぎる。天然なのか、狙ってるのかは知らないけど。父親になって1年も経つのに、彼女はまだ女として俺を虜にしている。
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