2934人が本棚に入れています
本棚に追加
空のカレー皿を差し出すと、洗い物をしようとシンクに向かう彼女。気配を消して近付いて、その背後を取った。
「わ、ビックリした…!」
途端に頬を染める。
だから、そのリアクション。狙ってるの?って訊きたくなる。
「洗い物なんか良いよ、後で俺がするから。そんな事より、」
「なに…?」
「俺の相手してよ、ママ」
両手で、ワンピースの肩紐をずらした。ストンと身体を抜け落ちて、床に溜まるワンピース。彼女は下着を着けていなかった。
こういうことをする事を期待している日は、いつも彼女は下着をつけていない。どうせ汚れるから、らしい。思わず笑みが溢れた。
広いワンルーム。とは言え、リビングからの照明だけではキッチンは薄暗い。ボンヤリ見えるシルエット。うっとりしながら胸に触れたら、彼女は恥ずかしいのか身を捩った。
「べ、ベッドでしようよ…」
「いつも言ってるけど、そんなとこでしたら晶美の安眠妨害。悪影響だろ?」
ベッドの横に置かれた、晶美のベッド。そんな近くで致していて、晶美の睡眠の邪魔になったらいけない。だって心美はいつも、声が我慢出来ない。それくらい感じてくれるのは、男として嬉しい限りだけど。
首の後ろから背中に、舌を這わせる。と、彼女の肌が粟立つのが分かった。
「お、お風呂は…?」
話を逸らそうとする彼女。その手には乗らないと「後で入る」って返事したら、
「…先に、入れば…?」
と頑なにお風呂を勧めてきた。
ちなみに、キッチンでこんなことするのは初めてだ。本当は、堪らなく手を出したくなる瞬間が何回かあったんだけど。火を使ってたり、包丁を持ってたり、なかなかタイミングが難しくて。
やっと上手くこうなったのに、彼女は腕の中で小さく呟いた。
「…は、恥ずかしい…、んだけど…、」
一瞬、手を止めた。その台詞、余計に男を焚き付けるって分かって無いのかな。経験が多い彼女の事だから、やっぱりわざとなんじゃないの?って思ってしまう。いつも彼女は俺を簡単にその気にさせるから。
最初のコメントを投稿しよう!