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【番外】不治の病★
今日の私は、千晶に、大変申し上げにくい事を伝えなければならなかった。
「千晶、」
「ん?」
「あのね、心して聞いてね、」
就寝前の寝室にて。伝えようかずっと悩んでいた事を、やっと伝える事にした。明日は長女の体育祭。確実にバレてしまうから、私から伝えると晶美と約束していたのだ。
ーーー晶美、彼氏出来たって。
「…は?」
彼の口が、ポカンと開いた。顎が外れてしまったんじゃないか、ってくらい、ダランとだらしなく垂れ下がっている。
「え、うそ、」
「ホント」
「い、いつから?」
「夏休みに入る前に告白したんだって」
「晶美が!?」
「そう。で、保留だったらしいんだけど、」
「保留!?晶美を保留にしたの!?」
「…ちょっと、静かにしてくれる?」
4LDK、一軒家。とは言え、隣は晶美の寝室だ。
「とにかく、新学期に返事貰って…1ヶ月だって」
「1ヶ月!?すぐ言ってよ!」
「だって晶美が、パパには内緒にしてって言うから…」
「何で!?」
そういうリアクションするからだよ、って内心返した。
彼は超が付く程の親バカ。娘2人揃って、その辺のモデルや女優より可愛いと、毎日のように言っている。
「明日のお弁当、彼氏と食べるって」
「はっ!?俺が晶美と千恵美と4人で弁当食うのをどれだけ楽しみにしてたか…」
「うん、だからゴメンって言っといてって、晶美が」
「マジか!」
ベッドに倒れ込む彼。ボソボソと小さな声で「いつかそんな日が来るとは思ってたけど」と呟いている。
とりあえず早く寝たかったので、電気を消した。
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