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再会
「どうだった?昨日のオトコは」
「いやマジ、全然ダメ。早すぎて」
昼休みの化粧室。同期の恵美梨と、昨日の飲み会と称した合コンの反省会に勤しんでいた。
私は顔と身長と年収の三拍子揃った男に自分からついて帰ったが、夜の出来事が悲惨すぎて、1度で勘弁して貰った話を面白おかしく彼女に伝えた。
「でも勿体ないよね、心美はこんなに美人なのに。男運ゼロじゃん」
恵美梨の言う通りだった。
私は自分で言うのもなんだが、肌は白いし目は大きいし、鼻も高いし髪もサラサラだし、身長も高いし手足も長いし、学生の頃はよく街中でスカウトされていた。見た目でコンプレックスを抱いた事は特にない。
ひとりっ子の私は、両親の溢れんばかりの愛で真っ直ぐ大きくなったが、その純粋な心が穢れたのは18歳の冬だった。
大学受験を推薦で決め、早々に受験勉強から解放された私は、同級生で人気のあった男の子に熱心に告白され、あっさりと付き合うことになった。別に好きだった訳ではないけど、初恋の彼を引きずるには長すぎたし、そろそろ彼氏も欲しいし、何よりこんなにも自分のことを好きだと言ってくれることが嬉しかったからだった。
彼はとても優しくて、初キスも初体験も、彼と済ませた。
だけど付き合って数ヶ月で、他校と合わせて数股だったことが発覚して、挙げ句の果てには「俺にかかれば早乙女心美くらい簡単にヤれる」的な事を男子に向かって大口叩いているのを聞いたりして、あの熱心な告白は何だったんだとか、少しでも心を開いた私はバカだったとか、色んな気持ちが交錯して、男はヤりたいだけで最低だというイメージが貼り付いてしまった。
それからと言うもの、私は男性に深く関わる事をやめた。股は開いても心は開かない。全然上手く言えてないけど。
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