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「特許取得済み製品のライセンス料は、王立魔法学園に入学している間の生活費と魔法の使用が可能となるといわれる魔境の落札費用に使用しよう」とロランは計画する。
その日の夕食、クレイグ氏は突然ロランに
「ロラン君、ちょっといいかな。…」
「はい、なんでしょう。」
「ロラン君が王都に来てからの5ヶ月、商品開発や『ヒルデ迷宮』での冒険者業、冒険者ギルドでの治癒業を頑張りすぎて、精神的にも肉体的にも擦り切れているように見えるよ。」
「……」
「ロラン君の人生はこれから長いのだから、少し生き抜きが必要だね…」
「明日から一週間、娘のソフィアと王都を色々楽しむように。これは大人の忠告として聞いてほしいな。」
「あの。一月ではダメでしょうか…」
「それは、別の意味で色々困るなぁ…。ソフィアも一月は長いよね…」
「…いいえ、ロラン様となら一年でも少ないくらいです…」
「「………」」
ロランとクレイグは、ソフィアの器の大きさを思い知った。
2階の部屋に戻り、窓を開け、ベッドの上で横になったロランはしみじみと
「この世界に来てから、もう5年6ヶ月が経ったのか…あっという間だったな」
「王都に来て、クレイグさんやソフィア、『ヴァイスローデン』のパーティメンバーや冒険者ギルドの皆に出会えて、本当に幸せだな…」
「明日は、ソフィアとデート。女性とデートなんて元の世界も含めてほぼ初めてだけど大丈夫かな…」
ロランは、小気味よい風を体に感じながら眠りに着いた。
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