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逃げて、追われて、捕まって (元悪役令嬢編)
niはぁ……やっと逃げきれた。
とある教室の一角で息を潜める中、私は壁に背を預け肩を激しく揺らしながらに、流れる汗を手で拭っていた。
廊下からバタバタと走る音に大きく肩を跳ねさせると、私は四つん這いになり這いながら扉から離れる。
すると足音がピタリッと止まったかと思うと、ガラッと大きな音を立てて扉が開いた。
まずい……ッッ。
慌てて身を隠そうと体を起こすが……その前に私の肩に手がかかる。
「ひぃっ、!!!!」
「ふふっ、みぃ~つけた!」
うん……?
思っていたものとは違う、可愛らしい声に振り返ると、そこには友人がイタズラが成功した子供の様にニヤリと笑みを浮かべていた。
「はぁ……もう、驚かさないでよ!」
「ごめんごめん、この部屋に入るところが見えたからさ。……それよりもまた追いかけっこをしているの?」
「追いかけっこじゃないわ。私は真剣に逃げているのよ!!」
そう力いっぱい叫ぶと、友人はケタケタと楽しそうに笑って見せる。
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