逃げて、追われて、捕まって (元悪役令嬢編)

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だから次はちゃんと自分の好きな人と結婚して、幸せになるの、そう思っていたのに……。 はぁ……どうしてこんなことになってしまったのかしら。 私はどこで間違った道へ進んでしまったの……? そう……事の始まりは私がこの王都一の学校へ入学したあの日。 前世の記憶も相まって、一度終えた人生で学んだ学問の知識は、当たり前だが平民の中では飛びぬけていた。 そんな私の噂はあっという間に広がり、そして私は王都一の学園へ推薦された。 王都で一番というだけあって、学生の8割以上が貴族で占められている。 そんな中、学費免除で入学できる試験を突破出来た平民は少数だけ。 最初はこの推薦を断ろうと思っていたのよね。 だって貴族には極力関わりたくなかったから……。 でも平民は貴族とは違い女であろうとも、自分自身でお金を稼がなくてはいけない。 この学園を卒業したとの経歴が残ればこの先きっと有利に働くだろう、そう考えて入学を決めたのよね。 正直目立つことなく大人しくしていれば、貴族が平民なんかに、何かしてくる可能性も少ないしね。 そうして無事に試験をクリアし、学園へ入学した初日。 整った顔立ちに、蒼い髪にエメラルドの瞳をした堅物そうな少年が、私の前に現れたのが全ての始まりだった。     
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