あの日の彼

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カウンター越しにコーヒーを出すと彼は爽やかな笑顔を向けてくれる。 「お仕事でこちらに? 急な雨で大変でしたね」と問えば。 「急に雨がひどくなってきて、どうしようかと思っていた所に、ちょうどここが目に止まって。雨宿りがてら休憩でもしようかと入らせて貰いました。」 「そうですか。 こんな所でよろしければ、雨が落ち着くまでゆっくりなさって下さい。」 「ありがとうございます。」 そう言って彼は、そのままコーヒーを飲んだ。 あ、ブラックが好みなんだ。 いや、でも、今日は単にブラックの気分なのかも知れない、今度もし、また来てくれたならその時にも確認してみよう。 うん、また来てくれると嬉しい。 そんな事を思いながら彼を盗み見た。
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