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その後の彼
その日は取り留めもない会話をして帰って行った彼。
けれど、それから彼は度々 来店してくれる様になった。
それは週末だったり、勤務中と思われる時間だったり、仕事の後であろう時間だったりとバラバラだったけれど。
理由は分からないが、何かが気に入って貰えたのならそれは喜ばしい事だ。
その辺から推察するに彼には恋人の様な人はいないと思われた。
そう思うと単純なモノで僕の気分が上がった。
彼は いつもカウンターの隅の席に座り、文庫本を片手にブラックコーヒーを飲む。
僕は、その横顔を盗み見ながら自分のやるべき仕事をこなしていく。
と言っても、そうそう繁盛している店でもないから、時間によっては彼1人しかいない時もある。
そうなると特にすることも無いので、僕は気付かれないように注意深く彼を観察する。
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