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-----無空間-----
「…………ここはどこ?」
「いったい今まで何をしてたんだろう……」
「真っ暗で何も見えない…」
「死んだのかな……?」
「そもそも僕は…?」
ここは無空間…
何も存在せず
真っ暗でどこまで続いてるかもわからない暗闇の中
ただ立っているだけ
歩いても歩いてもただの暗闇
自分は誰なのか
どうしてここに居るのか
生きているか
死んでいるのか
自分に身体はあるのか
人間か
生き物か
植物か
機械か
何もかもわからない
しばらく立ち尽くしていると目の前に突然と光が灯る
不思議とその光は嫌な感じはせず
無意識に光が灯る方へ足を運んでいた
光が指す方へ進み光の中へと入ってみると
そこには
一軒家・二階建て・リビング・寝室・庭・大人な男性と女性・赤ん坊
次々と変わる絵に
不思議とどれもみんな知っていた
そして
絵が定まると庭ではしゃぐ三人組が見えた
男性がしゃがみ両手を広げていて
女性は「頑張れ」と発し
幼い子供がまだ拙い足で男性の方へと向かって歩いていた
不思議と
その光景に懐かしさを感じていた
幼い子供が男性に辿り着くと
女性が笑顔を見せつつも涙を流していた
同じく男性も子供を強く抱きしめ
笑顔と共に涙を流していた
幼い子供は飛びっきりの笑顔を見せ
二人の顔を見ても尚
唯一無二の笑顔を見せた
…すると何故か自分も涙を流していた事に気がつく
不思議な感覚だった
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絵は変わり
場所は全く同じで変わったと言えば
幼い子供だった子は
少し成長し言葉も話せるようになっていた
しかし
庭にはまたしても男性が両手を広げ
幼い子供が拙い足で男性の元へと歩いて行き
女性が「頑張れ」と発し
幼い子供だった子が「こっちだよ」と発していた
しばらくすると男性の元に幼い子供が辿り着く
それにまたも男性と女性そして成長していた子供が笑顔と涙を見せていた
二人の子供の唯一無二の笑顔を見て
男性と女性は更に泣き出してしまった
そんな自分もまた涙を流していた
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涙を拭くと再び暗闇の無空間に戻っていた
「お父さん…?お母さん…?……カケル…」
少しずつ何かを思い出している
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