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「……っ!」
声が出なかった。まさか…親父が母さんを……。焦り、困惑、怒りの感情が渦を巻き、無意識のうちに台所に行って包丁を取り出し、リビングのドアの前に立つ。すると、親父が中から出てきた。
「あ?お前いつからそこにいたんだ?」
「……」
親父が口を開くが、俺は無言で俯いていた。包丁は後ろに隠して……。そして、意を決して口を開く。
「何で…母さんを殺したの……」
「あ?お前には関係ないだろ。」
「関係あるから聞いてんだよ!このクソ親父!!」
俺の堪忍袋の緒が切れた。そして、素早く包丁を出して親父の胸に刺す。
「がはっ…!」
そして、俺は親父が死ぬまで何度も包丁で刺し続けた。
「……殺したはいいけど…どうしよう?」
辺りは血でいっぱいで、俺の服も血で真っ赤になっていた。
「とりあえず、シャワー浴びてこの服は、捨てよう。片付けとかも色々して…荷物整えたら家を出よう。」
シャワーを浴びてから、汚れた服を洗ったが血が落ちなかったのでやっぱり捨てることにした。自分の鞄に財布、通帳、携帯、服、母の物などを入れて、家を出る準備は整った。そして玄関に行き、外に出る。そして鍵をかける。
「…母さん、またね。」
そう言って、俺は自分の家を出た。もう…あの家には戻れない。そう思いながらも、俺は前に進んだ。
「結局、この後どうしよう?行くあてもないし、かと言って、お金使ってホテルにでも泊まるのは嫌だし…。」
色々と考えるが、結局いい案は出ずただ途方に暮れていた。すると、突然後ろから声をかけられた。
「君、どうしたの?何か困ってる?困ってるなら俺様が助けてあげるよ?」
誰かも分からないので、とりあえず後ろを見ると見知らぬ男性が立っていた。
「やぁ。」
「何ですか…?別に困ってなどいないんですけど?」
「へぇー?俺様にはそうは見えないんだけど?」
何この人?何が言いたいわけ?すると、その男性は口を開いた。
「君、人を殺したでしょう?君から人を殺した異臭がする。それに、家を出たはいいけど行くあてがなくて困ってる…。違う?」
「……っ!?」
何でこの人、俺の思ってることが分かるんだよ…!?もしかして、エスパー?そう考えると少し不気味だった。そして、その男性は口を開く。
「図星でしょう?俺様は君の手助けをしに来たんだよ。君が人を殺したなんて、誰にも言いはしないから安心して。」
「…分かりました、手を貸してください。」
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