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「いいよ?それで、何したらいいの?」
「…そう…ですね……」
さすがにそこまでは考えていなかった。どうしようと悩んでいると、その男性が提案をした。
「ここじゃあれだし、場所変えないか?」
「どこに行くんですか?」
「俺様が経営してる会社。ベッドやシャワールーム、食べ物もまぁ大体あるから寝泊まりできるよ?」
なんだ、そういう場所あるんじゃん。そう思って、俺はすぐに承諾した。
「じゃあ、そこにしましょう。案内してくれませんか?」
「いいよ、こっちこっち。」
そう言ってその男性は俺を連れて会社に向かった。
「着いたよ。」
15分後に、その会社に着いた。15階建てくらいの立派な建物だった。
「こんな立派なところで…一体どういった仕事を…?」
「まぁまぁ、その話は置いといて。中に入ろう。」
「……はい。」
渋々中に入る。中は誰もいないのか真っ暗だった。しかも外見だけなのか、中は凄く不気味でゴミが落ちていたり、壁には落書きされていたり…まるで路地裏に連れてこられたみたいだ。
「こっち来てくれ。」
「あ…はい。」
そう言われて、男性はある部屋に俺を招き入れる。中に入ると、学校などにある会議室みたいな部屋だった。
「適当にそこら辺に座っといて。」
「…はい。」
近くにあったイスに座り、男性を待つ。そして数分後に資料らしきものを沢山持って来て、向かいのイスに座る。
「まず、まだ名前を言っていなかったね。俺様は如月輝、ここの会社の社長だよ。君は?」
「俺は…神崎湊…です。普通の学生です。」
「ふーん、それで?何で人を殺したの?」
正直言いたくなかったが、言わざるを得ない状況だったので、思い切って口を開いた。
「…父親が…母親を殺したんです。優しくて…いつも俺の面倒を見てくれていた母さんが……なのにっ…!あのクソ親父のせいで、俺の人生は散々にされた!!」
自分で言った途端に目頭が熱くなる。そして、それは溢れ出し頬を伝った。
「……っ…うぅ……」
「そっか、大変だったんだね。もう大丈夫だよ。」
そう言って、如月さんは俺の頭を優しく撫でてくれた。
「……っ!」
「もう大丈夫だよ。これからは俺がお前を守るから。」
「…え……?」
如月さんが言い終わった途端に、辺りが霧に包まれ、そして謎の甘い匂いで俺の瞼は閉じて行った。
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