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序章 はじまりは空の上
──いつも、夢に見る光景がある。
お父さんがいて、お母さんがいて、幼い頃の私がいて。
三人で真っ白な花畑でピクニックしてる。そんな、幸せな、夢。
最初はそれを外から見つめていた。
でも、気がつけば私は“幼い私”になって笑ってる。
幸せで、幸せで……幸せすぎるのに、その事に気づけない私。
ひどく幸せで、起きた時哀しくなるくらい、温かい、夢。
────そして、私は今日も幸せな夢から目覚める……。
「…………おはよう。お父さん、お母さん」
体を起こし、夢のままの笑顔を浮かべる二人に──二人の、遺影に──泣き笑いの様な表情で、私は静かに挨拶をする。
あぁ、また“今日”が、始まった。
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