11人が本棚に入れています
本棚に追加
吐き捨てるように、彼女は言った。その表情に愉悦はなく、嫌悪だけが泥のように付着していた。
そして、彼女は僕に棺の中で眠れと言った。いつか、この不死の呪いを解くことができるまで、と。しかし、僕は首を横に振った。片眉を上げた彼女に僕は、本音を打ち明けることにした。
「棺の中は、息苦しい。」
少しの間沈黙した女王は、やがて笑い出す。そして、目に一迅の光を走らせた。
「ああ、お前気に入ったぞ。名無しのお前に私からの祝福を授けてやろう。お前は、死を越えるものを知っているか」
死を越えるなんてものを僕は知らない。死は終わり、だったはずだ。何故か、不死者として生きている今が不可解でならない。そんな僕からしてみれば答えは一つだけである。
「……不死者ではないのか?」
「ああそうだ。それは妄執の果てにある、死ねぬほどの執念がみせた光。その加護を受けたものが不死者となる。光の名は、名をアトランというのだ」
僕の答えに深く頷いた女王は不思議な響きでアトランと言う。言語としては聞き取れるのに、なにかが違った。
「……アトラン」
僕が復唱すると、女王は微笑んだ。
「お前はアトランだ」
最初のコメントを投稿しよう!