Be brave

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「──……なに、この大っきなスマホ。てか、ここどこ?」  居並ぶ巨大なスマートフォン。その液晶画面からの光以外、辺りは真っ暗で何もない。そこは天井も壁も空も、本当に何もないただの空間だった。 『ようこそ六花(りっか)ちゃん。ボクが案内するよー』  その声は私の下から響いてきた。目を落とすと、足元で普通サイズのスマホが明るく暗く明滅している。 「リッカ……?」 『リッカは君の名前。六の花って書くんだよ。雪の結晶の事だね、キミはきっと冬に生まれるんだ』  そう言われて”ああ……”と思い出す。  そうだ、私の名前は六花。でもそれ以外は何一つピンとこなくて頭に靄がかかっているみたい。 「あんた誰よ。どっから電話してんの」 『ボクはボクだよ。別に電話してるんじゃなくて、これがボク。キミたちを案内するだけの存在さ』  子供のような少し高い声、軽い口調。姿は見えないけれど、ボクって言うんだから男の子? 『ボクはボクってだけで性別はないよ』 「……っ」  思っていた事を言い当てられてちょっとビックリ。でもなんとなく、そりゃそうだって納得してしまう。 「キミだって、その十代半ばの姿と着ている制服は便宜上のモノだし。ちょうどその歳くらいの一般的な知能を一時的に持たされてるから。……選択するためにね』
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