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すべてのはじまり
「「星光学園高校、合格おめでとう!!」」
パンッ!!というクラッカーの破裂音と前に座る両親の声が揃う。
「へへっ、ありがとう」
照れ臭くて頬をかきながら答える。
「ほらほら、ご馳走たくさん作ったから食べて食べて!」
母さんに進められた唐揚げを食べながら、隣に座る妹を見る。
「稚佳にぃ、おめでとぅ?」
おにぎりをモグモグとしながらキョトンと見上げてくる。
六歳の妹はほんとに天使だ。
可愛いに越したことない。
この世で一番可愛い子だよ、幸香は。
「ありがとう。」
幸香の口の端についたご飯粒をとって口にいれる。
頭を撫でてやるとえへへ、と目を少し細める。
「稚佳、おめでとう。よくやったな。」
「うん!蓮斗さんありがとう!」
僕の憧れの蓮斗さんは、母さんの弟。
つまり、僕らの叔父さんだ。
そして、これから僕が通う星光高校の数学教師でもある。
星光高校を志望した理由の一つがそれなんだよね。
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