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そう思いつつも己の体を使って実験などしてみたくはないので、これからを考える。
とりあえずそうだな──
と、空を見上げる。
「…………どうしようもないな」
空は諦めるとして。
私は視線を足元に下ろした。
白い雲の上に自分が立っている。
……うん。
立っているな。
…………立ってる?
認識に、意識が追い付いた。
え?
あれ?
なんで?
雲は水蒸気の集まり。
人が乗れるわけはないのだ。
ましてや立つなんて。
ではこの状況は一体──
──《貴は神を信じるか》
軽く混乱しかけたところに。
声があった。
「?」
見回すが、視界に何者も捉えることは出来なかった。
──《貴は神を信じるか》
再び同じ声。
再び同じ問い。
そこで私は察した。
もしや。
私は、死んだのか?
死んだから、ここにいるのか?
それにしては中途半端な場所である──
──《貴は神を信じるか》
三度目の問いが重ねられる。
答えなくてはいけないものらしい。
答えなくてはこのままなのだろうか。
答えることで原状が打破できるのであればいいか。
私は答える。
「半信半疑だ」
──《下がれ。貴が来る場所ではない》
あや、にべもない。
足元が崩れる。
足、腰、胴、頭と雲をすり落ち。
雲が遠ざかるのを見上げながら──
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