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地獄にて
目が覚めるとそこには………
一寸先も見えないという闇が広がってました。
くらっ。
「……川端康成っぽいの第二弾ってか」
そんなツッコミみたいなセリフを吐けるほどには冷静でいる自分に少し驚きだが。
それにしても。
闇。
これまた自分以外の存在が見えない。
うん、まぁ。
こうなったら察するものがある。
自分は死んでいて。
先ほどは天国(その手前?)から、そこへ入るのを(入国?)拒否されて──落とされた。
そして、その落とされた先が闇ということは。
「……地獄の一歩手前……か?」
これだけの闇だ。
ありうるだろう。
上を見て──下を見た。
完璧な闇だった。
さて。
どうしたものか。
天国の手前同様、同じ景色を眺め続けるのは嫌なんだけど。
……ふむ。
考えてみればそれはそれで地獄のようなもんだよな──闇を見続けるというのは、苦行と言えば苦行なんだし。しかも耐えたところで何も得るものがないという。
地獄の手前もまた地獄。
……嫌だな。
かといって打開策など考えたところで思い付くはずもなく。
……考えすぎて悶死とか嫌だな──あ、死んでるのかもう。ってことは永遠に悩み続けることになるのか? マジで?
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